令和8年度版・申請ガイド

業務改善助成金
申請の流れと必要書類のご案内

業務改善助成金は、事業場内の最低賃金を引き上げ、あわせて生産性向上に役立つ設備投資等を行う中小企業・小規模事業者に、その費用の一部を助成する制度です。このページでは、要件の確認から入金までの流れと、各工程で必要になる書類・その書き方のルールをまとめています。

助成上限額
最大 600 万円
助成率
4/5 または 3/4
申請受付
R8.9.1 〜 最長 11/30
事業完了期限
R9.1.31
STEP 1 ─ REQUIREMENTS

対象となる事業者(要件の確認)

  • 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係のある「みなし大企業」でないこと)
  • 事業場内最低賃金が、令和8年度改定後の地域別最低賃金額未満であること(改定後の地域別最低賃金と同額の場合は対象外)
  • 解雇・賃金引下げなどの不交付事由がないこと(申請前6か月〜実績報告までの間)
  • 労働保険に加入し、労働保険料の未納がないこと
  • 引き上げる労働者が雇用保険被保険者(週所定労働時間20時間以上)であること
💡 「事業場内最低賃金」とは事業場で最も低い時間給のこと(雇入れ後6か月を経過した労働者が基準。月給者は時間換算します)。申請は法人単位ではなく、工場・事務所など事業場ごとに行います。同一事業場の申請は年度内1回までです。
最初にお預かりしたいもの要件確認のため、事業場の全労働者の賃金台帳(直近6か月分)労働者名簿雇用保険の加入状況がわかる資料をご用意ください。ここで「誰が事業場内最低賃金の対象者か」「何人を何円引き上げるか」を確定します。
出典: leaflet p.1, p.3 / grant_guidelines p.6 / implementation_rules p.1
STEP 2 ─ PROCESS & SCHEDULE

申請から受給までの流れ

1
要件確認・計画
賃上げ人数・コース/導入設備を決める
2
見積取得
同一条件で2社以上(中古は3社)
3
交付申請
労働局へ提出
R8.9.1〜最長11/30
4
交付決定
通知が届くまで
発注・契約は禁止
5
事業実施
発注→納品→振込/賃上げ・就業規則改正
6
実績報告
完了日から1か月以内
7
額の確定・入金
審査後に振込

守っていただく順番

⚠️ 「申請 → 交付決定 → 発注・賃上げ」の順番は絶対です
  • 賃金の引上げは交付申請より後に行います。先に引き上げると対象外です。引上げは1回で行い、複数回に分けることはできません。
  • 設備の発注・契約・納品・支払は交付決定より後に行います。交付決定前の着手(事前着手)は理由を問わず対象外です。

期限一覧

項目期限補足
交付申請令和8年9月1日 〜 地域別最低賃金の発効日の前日 または 11月30日 のいずれか早い日予算がなくなると期間内でも受付終了。末日が休日なら翌開庁日
賃金引上げ交付申請後 〜 地域別最低賃金の発効日の前日発効日当日の引上げは対象外
事業完了(納品・支払・賃上げ)令和9年1月31日やむを得ない理由があり理由書を添えて認められた場合のみ3月31日まで
実績報告事業完了日から1か月を経過する日、または翌年度4月10日のいずれか早い日期限までに不備のない書類が揃わないと交付決定取消の対象
💡 事業完了日とは①導入機器等の納品日、②助成対象経費の支払完了日、③賃金引上げ日(就業規則等の改正日)のうち最も遅い日です。実績報告の1か月はここから数えます。
出典: leaflet p.1, p.3-4 / implementation_rules p.1-3 / qa p.15 問40, p.17 問50
STEP 3-6 ─ DOCUMENTS BY PHASE

工程ごとの必要書類

工程を選ぶと、その時期に必要な書類と「書類の形式で確認すべき点」が表示されます。見積書の整え方・助成額・対象経費は「交付申請時」タブの下部にあります。

交付申請時に必要な書類

申請書類は様式(労働局が定めた書式)添付資料に分かれます。様式は当事務所で作成しますので、お客様には添付資料のご準備をお願いします。必須はすべての方、該当時は条件に当たる方、局によりは労働局から追加で求められることが多いものです。

様式(当事務所で作成)

  • 交付申請書【様式第1号】 ─ 申請コース(50/70/90円)、特例事業者の区分、消費税の扱いを記載
  • 国庫補助金所要額調書【様式第1号 別紙1】 ─ 総事業費・助成額の計算表
  • 事業実施計画書【様式第1号 別紙2】 ─ 賃金引上げ計画(対象者・引上げ前後の額・引上げ日)と設備投資計画(機器名・型式・数量・金額・導入効果)

添付資料(お客様にご準備いただくもの)

0 / 0※チェックはこの端末のブラウザにのみ保存されます
出典: grant_guidelines p.6, p.17(様式第1号 添付資料)/ implementation_rules p.3, p.5 第12 / qa p.18 問52 / 「局により」の項目は各労働局の実務による追加提出書類

見積書の整え方(最重要)

⚠️ 見積書の不備は、差し戻し・不交付の最多原因です 契約予定額が税抜10万円以上の場合、同一条件の仕様による2社以上の見積書が必要で、交付決定後は最低価格を提示した業者と契約します。見積書は「金額が2枚ある」だけでは足りず、比較できる状態になっていることが求められます。本見積(契約予定の業者)と相見積(比較用)の項目・型式・数量が1行ずつ対応しているかを、提出前に必ず突合してください。
🏷️ 値引きは「行」ではなく「単価」に反映してもらう末尾に「値引き ▲○○円」と独立した行がある見積書は、どの品目に対する値引きか判別できず、助成対象経費を品目ごとに算定できないため、労働局から差し戻しを受けることがあります。業者に依頼する際は「値引き行は設けず、値引き後の金額を各品目の単価に反映した見積書」を出してもらってください。相見積側も同じ形式に揃えます。

見積書に必ず記載してもらう項目

項目記載ルールよくあるNG
宛名申請事業者の正式名称(法人名/屋号+個人名)。申請する事業場宛て代表者個人宛て、「上様」、別支店宛て
発行日・有効期限申請日より前の日付で、申請日時点で有効期限内。2社の発行時期が近いこと有効期限切れ、片方だけ数か月前の見積
発行者業者名・所在地・連絡先・押印(または社判)。自社・親子会社・グループ会社・役員兼任先・代表者の3親等以内の親族・自社社員が経営する会社は不可関連会社の見積、個人名だけの見積
品名メーカー名+正式な製品名。2社で同じ製品であること「業務用冷蔵庫 一式」など具体名がない
型式・型番2社で完全一致(ハイフン・末尾記号まで)。オプション品・付属品も型番を記載後継機種・同等品・色違いで型番がずれている
数量・単位・単価数量は2社で一致。単価と数量の積が金額と合うこと1社は「1式」、もう1社は内訳明記で比較できない
付帯費用設置費・搬入費・配送料・初期設定費・研修費など、両社とも同じ範囲を含める(または両社とも含めない)片方だけ設置費込み、片方だけ保守料込み
税区分税抜金額・消費税額・税込金額を分けて記載。2社とも同じ税率税抜と税込が混在し10万円判定・助成額計算が狂う
値引き「値引き」「出精値引」などの独立行は設けない。値引き後の金額を各品目の単価に反映した見積書を出し直してもらう末尾に「値引き ▲50,000円」の1行。どの品目が値引かれたか不明で、労働局が助成対象経費を算定できず差し戻し
納期交付決定後の発注で1月31日までに納品できる納期であること納期数か月で年度内に納品できない
中古品の場合古物商許可のある3社以上から、型式・年式が記載された見積書。販売実績・事業実績が確認できる業者2社のみ、年式なし、個人間売買

本見積と相見積の突合例

NG例型番・範囲がずれている

A社(本見積)B社(相見積)
○○製 食器洗浄機
JWE-450RUB3 ×1
○○製 食器洗浄機
JWE-450RUC(後継機) ×1
専用ブースター WB-25H ×1(記載なし)
搬入・設置費 ×1設置費込み(内訳なし)
出精値引 ▲50,000円
小計(税抜)1,180,000円小計(税込)1,265,000円

→ 同一条件で比較できないため差し戻し。型番違い・付属品の欠落・付帯費用の範囲違い・値引き行・税区分違いの5点を直してもらう必要があります。値引きは「どの品目がいくら安くなったか」が分からないと助成対象経費を算定できません。

OK例1行ずつ対応している

A社(本見積)B社(相見積)
○○製 食器洗浄機
JWE-450RUB3 ×1
○○製 食器洗浄機
JWE-450RUB3 ×1
専用ブースター WB-25H ×1専用ブースター WB-25H ×1
搬入・設置・給排水接続費 ×1搬入・設置・給排水接続費 ×1
小計(税抜)1,180,000円
消費税 118,000円
小計(税抜)1,240,000円
消費税 124,000円

→ 品名・型番・数量・付帯費用の範囲・税区分がすべて対応。交付決定後は安い A社と契約します。

提出前の突合チェック

  • 本見積と相見積を並べ、行数が同じで、各行の品名・型番・数量が一致している
  • オプション・付属品・ソフトウェアライセンスも、両社に同じ型番で載っている
  • 設置費・搬入費・送料・初期設定・研修の含む/含まないが両社で揃っている
  • 金額は税抜で比較し、税抜合計が10万円以上(相見積が必要な水準)かを確認した
  • 「値引き」の独立行がない(値引き後の金額が各品目の単価に反映されている)
  • 宛名・発行日・有効期限・発行者の押印を確認し、発行者が関連会社・親族でない
  • 計画書(別紙2)に書く機器名・型式・金額が本見積と一字一句一致している
  • 見積書の型番は、実績報告で請求書・納品書・写真にも同じ型番が載ることを業者に伝えてある
💡 契約後に安くなった場合申請時と同一型番の製品が申請時の見積額より安く買えた場合は「軽微な変更」で計画変更申請は不要です。逆に高くなる場合・型番が変わる場合は事前に計画変更の承認が必要ですので、発注前に必ずご連絡ください。
出典: implementation_rules p.3 第4(契約等), p.4 第5 / qa p.18 問52, p.19 問55 / grant_guidelines p.17 / 値引き行の扱いは労働局の審査実務による指摘事項

計画時の参考資料

助成率と助成上限額(クリックで開く)
事業場内最低賃金 1,050円未満
4/5
事業場内最低賃金 1,050円以上
3/4
引き上げる労働者数50円コース70円コース90円コース
1人30万円 (40万円)40万円 (50万円)90万円 (100万円)
2〜3人40万円 (70万円)50万円 (100万円)150万円 (240万円)
4〜5人70万円130万円270万円
6〜7人90万円180万円360万円
8人以上110万円230万円450万円
10人以上 ※特例事業者のみ130万円300万円600万円

( )内は事業場規模30人未満の事業者の上限額。実際の助成額は「助成対象経費(税抜が原則)× 助成率」と上限額のいずれか低い方。特例事業者=事業場内最低賃金1,050円未満、または物価高騰等要件(申請前6か月平均の利益率が前年同期比3%ポイント以上低下)に該当する事業者。「引き上げる労働者数」には、事業場内最低賃金の労働者の引上げにより賃金額が追い抜かれる労働者を、コース額以上引き上げた場合に算入できます。

出典: leaflet p.2-3 / implementation_rules p.2 第2の9-10, p.5 第10 / qa p.19 問54
助成対象になる経費・ならない経費(クリックで開く)

⭕ 対象になる経費(主なもの)

  • 機械装置等購入費 ─ 機器・設備の購入・製作・改良(POSレジ、業務用機器、専用システム等)
  • 造作費 ─ 対象機器の据付・設置費用
  • 経営コンサルティング経費 ─ 国家資格者(中小企業診断士・社労士等)や金融機関による経営相談
  • 委託費 ─ 調査会社・システム開発会社等への委託(就業規則作成・賃金制度整備は除く)
  • 専門家謝金 ─ 導入機器の操作研修等(1回10万円・5回まで)
  • 専門家旅費・借損料・印刷製本費・原材料費

❌ 対象にならない経費(主なもの)

  • PC・タブレット・スマホ等の汎用品(特定業務専用システム稼働目的なら対象の場合あり。物価高騰等要件の特例事業者は新規購入に限り対象)
  • 自動車(8ナンバー等の特種用途自動車を除く)
  • 単なる経費削減目的(LED交換、通信プラン変更等)
  • 職場の快適化目的(エアコン、内装、机・椅子、レイアウト変更等)
  • 通常の事業活動・広告宣伝費(消耗品、HP・LP制作、展示会等)
  • 建物・太陽光発電・娯楽性の高い設備
  • 交付決定前に発生した費用、リース料・保守料
💡 「既存業務の改善」であることがポイント本助成金は、すでに行っている業務の生産性向上が目的です。新規事業のための設備は認められない可能性が高くなります。個別の機器が対象になるかは判断が分かれるため、見積を取る前にご相談ください。
出典: implementation_rules p.14-16 別紙3 / qa p.13-15

交付決定後〜事業完了までに行うこと・残す証拠

交付決定通知が届いたら、申請内容どおりに4つのタスク令和9年1月31日までにすべて完了させます。各カード下段の「残す証拠」がそのまま実績報告の提出書類になりますので、発生した時点で保管してください。

交付決定
通知が届く
発注・契約
最低価格の業者と
納品
写真を撮る
振込
口座→口座
賃上げ・規則改正
発効日の前日まで
事業完了
遅い方の日/1/31まで
実績報告
完了から1か月以内
📦
TASK 1
設備の発注・納品
やること
  • 最低価格を提示した業者に発注(交付決定後)
  • 納品されたら型番プレート(銘板)のアップ・全体・使用風景の3枚を撮影
NG:交付決定前の発注・納品/申請と違う型番の納品(事前に計画変更が必要)/請求書に「値引き」の独立行(単価に反映してもらう)
📎 残す証拠
発注書・契約書納品書 型番入り設置後の写真 型番が読める
💳
TASK 2
代金の支払
やること
  • 事業者名義の口座から業者口座へ振込
  • 振込手数料は事業主負担で送金
  • カード・手形払いは1月31日までに口座引落し完了まで確認
NG:現金・ポイント・ギフトカード払い/手数料先方負担(値引き扱いで助成額が減る)
📎 残す証拠
請求書領収書通帳の写し 表紙+該当頁振込明細 ネットバンクは完了画面
📈
TASK 3
賃金の引上げ
やること
  • 計画どおりの引上げ日に、対象者全員をコース額以上引き上げる(1回で
  • 所定労働時間・日数を減らさない
  • 引き上げた賃金を実績報告の提出日までに支払う
NG:地域別最低賃金の発効日当日以降の引上げ/2回に分けた引上げ/他の労働者の賃金引下げ・解雇
📎 残す証拠
賃金台帳 引上げ後の支払分まで労働者名簿 入社者がいる場合退職届 退職者がいる場合
📜
TASK 4
就業規則等の改正
やること
  • 「事業場内最低賃金は○○円とする」と引上げ後の金額施行日を明記(パート・有期の規程も)
  • 労働者代表の意見書を取得し、全労働者に周知
  • 常時10人以上の事業場は労働基準監督署へ届出
NG:金額・施行日の記載なし/労働契約書・労働条件通知書だけで代用(就業規則に準ずるものに当たらない)
📎 残す証拠
改正後の就業規則・賃金規程労働者代表の意見書監督署の受付印付き控え 10人以上
この期間に人の入退社があったら必ずご連絡ください交付申請後に雇い入れた労働者(新たに事業場内最低賃金で雇用した人を含む)と退職した労働者は、実績報告で名簿・退職理由の提出が必要です。解雇や賃金引下げがあると不交付事由になり得ます。
出典: implementation_rules p.2 第2の7-8, p.3 第4, p.6 第13 / qa p.15 問40-41, p.19-20 問58-60

事業実績報告に必要な書類チェックリスト

⏰ 事業完了日から1か月以内に提出しないと助成金を受給できません(期日が土日祝の場合は前開庁日。翌年度4月10日が上限)。事業完了日=納品日・支払完了日・賃金引上げ日のいずれか遅い日。書類が揃い次第すぐに当事務所へお送りください。

様式(当事務所で作成)

  • 事業実績報告書【様式第9号】
  • 国庫補助金精算書【様式第9号 別紙1】 ─ 値引き等で申請時より安くなった場合は実際に支払った額で作成
  • 事業実施結果報告【様式第9号 別紙2】 ─ 3欄(2)イ「常時使用する労働者の賃金状況」は、交付申請後に雇い入れた人も含め常時雇用する労働者全員分を記載(引上げ対象者だけではありません)
  • 支給申請書【様式第10号】

添付資料(お客様にご準備いただくもの)

0 / 0※チェックはこの端末のブラウザにのみ保存されます

書類間でそろえるべき「型番・金額・日付」

労働局は、見積書 → 請求書 → 納品書 → 写真 → 通帳を一直線に突合します。1か所でもずれると補正を求められ、1か月の提出期限を圧迫します。

確認項目見積書請求書納品書写真通帳・振込明細
品名・型番●(銘板)
数量●(台数分)
金額(税抜/税込)●(一致)
宛名・振込先申請事業者申請事業者申請事業者業者名義口座
日付申請前交付決定後交付決定後〜1/31納品後交付決定後〜1/31
振込手数料事業主負担
💡 受給後に残る義務助成金で取得した30万円以上の設備には処分制限期間があり、売却・廃棄・転用には事前承認が必要です。また、翌年度に状況報告【様式第8号】(対象期間の賃金台帳添付)の提出が必要です。
出典: grant_guidelines p.9 第13条, p.33(様式第9号 添付資料)/ implementation_rules p.5 第9, p.6 第13 / qa p.15 問39-41, p.19-20 問57-61